【ピコフリルの方法論】 

 何においても、
手縫いよりもミシンの方が丈夫だと思いこんでいた私には、
今回の実験はとても驚きでした。
やはり、人間の手は、素晴らしいのだと思いました。
複雑な場所でも、その場に応じて知恵を使い、
手で加減調節ができることで、
ガーゼでもほつれないピコが可能になりました。
手縫いの素晴らしさを垣間見た思いです。
時間はとても掛かりますが、
慣れると少しずつ出来上がるのがとても楽しみで、
また何より、ミシンを出さずともできるのが手軽で、
ちょこちょこ時間を用いて仕上げられるのが魅力的でした。


【どのようなガーゼに向くか?】
ピンタック同様、
ざっくり編みではなく、よく目の詰まったものがおすすめです。


【使う糸についての比較】
ヘムステッチの場合では、
momoさんに教えていただきましたが、
綿100%の手縫い糸や刺繍糸が相応しく、
ポリエステル100%のミシン糸を使われますと、
クロスした部分が浮いてしまい、すぐにほどけてしまいます。
これも実際にしてみたら…
本当にその通りで、驚きました(*^_^*)
(こちらは正式ヘムステッチとは、針のさす部分が違っていますが、
『使用糸の比較画像』としてご覧ください)
手縫い糸の方が締まっていますね…






次に、今回考えたピコ用結びステッチの方では、『ひとつひとつを結ぶ』ためなのか、
どちらの糸を使われても緩まず、
お洗濯実験では、使用糸によってほとんど差はありませんでした。
ただ、たまたま、私の使用している手縫い糸が
細口と言っても、ガーゼの糸よりは太かったためなのか、
見た目と触り心地においては
ミシン糸の方が自然に写りましたが、
お好みで使い分けていただけたら…と思います。









【表はどちら側になるの?】
実際にされてみて
お好きな方を使っていただければ…と思いますが、
洗濯をしますと、
このピコ用結びステッチは、
『作業面を、そのまま表』としてお使いいただいたほうが
美しいような感じがします。
(出来上がりピコの写真は、全て作業面側を見せています)






それでは、このピコ用ステッチをしていきましょう。
ここでは、この方法しかご案内していませんが、
momoさんの方では、もっと色々な手法を考え、試しておられましたので、
いつか更新される時に

ご覧になれる時があることと思います。
楽しみです。



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【下準備…糸抜き】
@フリル生地裁断
この際のポイントは、
見た目に真っ直ぐでも、ガーゼの糸はかなり曲がっていますので、
『必ず糸抜き』をしてそのライン通りに裁断してください。
そうすれば、
後で、何度抜いても生地全体が曲がっていて…
必要フリル幅が取れない…なんてことにはなりません。
(よくこの凡ミスをしていました…)笑

長さ=フリルをつけたい部分の長さ×『1.5〜2倍』 お好みフリルで…
幅 =ご希望のフリル幅+縫い代+5cm お好みで…


A 糸を抜きます。
糸抜きの幅は『5mm〜1cm』です。
フリルは長さがある場合が多いので、
最初は抜きにくく、特にガーゼは撚りが甘いので、
すう〜っと消えるように切れてしまうと思います。
(トリプルガーゼはさらに糸が細く撚りが甘くなりますので、
いっそう消えるように切れてしまうと思いますが、
よく見て触ると必ず、どの糸なのか…分かりますので、
針を使い、途中でもぐりこんでいる糸をすくって、
また糸抜きをしましょう)
沢山抜きますので、
ピンタックのように慎重にならなくても大丈夫です。
最初は、かたくて大変ですが、 糸が緩み始めると、
あとはしやすくなりますので楽しくなります。

Wガーゼの場合…
表は表から、裏は裏から…という風に抜く方が生地を痛めません。

トリプルガーゼの場合…
表と裏は上記の通りで、 真ん中の糸は、針ですくうようにしてつかみ、 抜きやすい側から抜きましょう。


※ 画像の数値は書き間違いです。糸抜きの幅は『5mm〜1cm』にしてください。


ここで、画像のライン(これから結びステッチを施すライン)が
『表も裏も、きちんと揃って糸が抜けているか』を確認してください。
綺麗に仕上げるコツになります。
(なお上の際のラインは、バラバラでも全然構いません。 後で裁断してしまいます…)

画像のように
生地の真ん中に糸抜きをすれば
それを挟んで両側にピコカットができます。
(同様の作業をすれば出来上がります)
糸抜きが一回分で二倍ピコが取れますので…助かりますね。
そして、このように両端使う場合には、
どちらの際ラインも糸抜きをそろえてくださいね。
両側にステッチを施したサンプルです。




【 ピコ用結びステッチの方法 】
 普通の綿生地やリネンとは、
『すくう糸の本数』も変わってまいりますので、 色々と試されながら、
お手持ちの生地に合うものをお選びください。


Bmomoさんの説明にあったように、画像のようにスタートして、
糸抜きの際から『二本下』に針をさします。




Cガーゼの場合のすくう糸は
太さにもよりますが、私は以下のようにしています。

Wガーゼの場合、
すくう糸は(表の糸の本数のみで言うと)4〜8本がベストです。
糸が太いときは4本、中ぐらいでしたら6本、細い糸のときは8本という具合に
実際にされてみて、調節していかれると良いと思います。
(実際には両面のガーゼの糸をすくうことになりますので、
倍の数の8〜16本すくっていることになりますね)



D正式ヘムステッチでは、ここで手前でクロスさせるだけですが、
ピコカット用結びステッチは、 ここで一手間加えます。



画像のようになった場面
(ヘムステッチでは、そのまま抜くところで)で その輪の中に針をくぐらせます。



そうすると、クロスしただけでなく、 『結ぶ』ことになりましたよね。

厳密には『1重結び』ですね。
普段の生活で何かを結ぶとき、2重結びにしないと外れてしまいますので、
それも実験してみたのですが、
これが不思議なことに、2重結びは逆効果で駄目でした。
見た目だけでなく、機能性がなくなるのです。
簡単に説明すると、
生地は、着用したりお洗濯で引っ張られることによって、
より強く締まる形があることで、
自然に強くなれるような気が致しました。
その為、ここでは、一重結びをして、
その糸を 「生地にさす』ことで、ぎゅっと強く締まり、
さらに隣のピコへと自然なつながりを持たせていきます。


そして、もう一点、
この結ぶことには、予防線の働きがあります。
ピコが1つ外れた時に、
ヘムステッチピコでは、どんどん他にその緩みが流れていき、
やがて、沢山ほどけてしまうという問題がありました。
その為、この新生ピコは、
ほつれないよう丈夫さを第一に考えたピコではありますが、
万が一、ひとつでもピコが外れたときに、
それでも、隣のピコに影響が出ないことを考えて、 ひとつひとつを結んであります。




ここでしっかりと引っ張りますが、
左隣との距離(この画像は最初ですので隣にピコがございませんが)、
二個目からは、
『つらないように、たるまないように』とります。
この時のコツは、
左右に引きながら、様子を見て、 結び目をかたくしていくと美しくできます。

E一番丈夫な所…『結んだ中央の1〜2本下に』針をさします。
(細い糸の場合2本下ぐらい。太い糸の場合は、1本下部分)



※この時点で『きゅっきゅっと強くしっかり締めます』
この作業を忘れずに行ってください。
この点をしないで次のピコに進むと、際から浮きはじめ、つったり前に倒れてしまったり、
隣との連携が全く取れなくなってしまいます。
(慣れるまではよくこれを忘れて、途中で気がついて、そこまでほどいて戻ったものです)笑

これで、1つのピコが出来上がりましたが、
糸は、どのようになっていますか?
結び目の真下に針をさして、
束の右横に抜けて出てきているわけですから、
画像のように、 糸は、一度奥に入ってから手前に出ていますね。
その形を確認されたうえで、 2個目のピコ作りに入りましょう。

ひたすら、ここまでの繰り返しをします。
2個目を作る流れを画像でご確認ください。











F全て出来上がったら、よく切れる鋏で裁断します。
私は、1〜2mm残す程度で切っていますが、
きつくしっかりと結びステッチができるようになるまでは、
2〜3mmで裁断されたほうが安心です。




これで出来上がりました。
お疲れ様でした。
なお、お洋服に使われる前には、
必ず、サンプルとして小さな試作ピコ(ピコを20〜30個分)を作り、
『裁断してピコ状にしたものを』洗ってから
『ご自分のピコの強度』を確認されてください

ネットに入れて洗いをかけ
もしピコがはずれているようであれば、 主に三つの原因が考えられます。

@
結える際に『締め方が足りない』
A『短く裁断しすぎ』
B『E番の作業が抜けてしまっている』







最後までお読みくださり…本当にありがとうございました。
お疲れ様でした。











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追記

約半年後のリポート


今も、このピコの耐洗濯性の検証を続けています。
今までの所、約半年ぐらいですが、
サンプルはどれも、かなり良い状況でほとんど外れていません。


約半年後のお洋服の状態です。





ピコ部分拡大







しかし、仮にはずれた場合を想定して、
そのピコがどう変化していくかについても、
サンプルを用意して、
意図的にはずし、変化を確認しました。

基本的には、
ひとつひとつを結んでいるおかげなのか、
たとえその部分がはずれてしまっても、
切りっ放しの時のように糸が次々と出てきてしまうことはありませんでした。
ただ、隣のピコへの影響は、
お洗濯の仕方によって、若干差が出ました。


2つのサンプルをご覧ください。

敢えて2ヶ所ピコをはずし、
『ネットに入れずに、普通にお洗濯』を数回してみた場合




はずれたピコ部分は隣に少し広がっています。
しかし、切りっ放しガーゼの端のように、
そこから横に糸がほつれて長く出てきてしまうことはありませんでした。


次は、 同様に2ヶ所ピコを意図的にはずした上で、
『ネットに入れて、弱水流もしくは手洗いコース』で洗いを繰り返した場合



お洗濯によって、隣のピコまではずれてしまうことはありませんでした。

そして、はずれたピコ部分の見た目の変化ですが、
ふさふさとした状態(生地の耳部分のような感じ)になりました。


ピコの縫製・洗濯後の状態を約半年見てきて、
個体差がある点は、やはり手仕事なので否めないものの、
『端始末の1つの方法として』使える範疇にあると、私は思いました。
もしピコが部分的にはずれたとしても、
『端始末としての機能』はそれなりに果たし、
切りっぱなしの時のように、糸が日に日にほつれてきて、
見た目を大きく損ねてしまうことはありませんでした。

お洗濯に関しては、
やはり、デリケートなガーゼとピコの性質を考えると、
できる限り優しい扱い(
ネットにいれて弱水流コース、もしくは手洗い…)が
より美しく末永くお召しいただくためにも、安心だと感じました。



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追記
2008 1/11

ピコフリルの実験から約一年後








全体的にお色が褪せてきてしまいましたが、
約一年後のお洋服の状態です。



素材は、コットン100%のトリプルガーゼ


真夏のみ、
…トリプルガーゼでは、暑かったので、
余り着用いたしませんでしたが…
それ以外の季節は、
とても役に立つ一枚となりました。



思い入れも深く、
大切にお洗濯をしてきたことも
功を奏していることと思いますが、
ピコフリル部分、このように、まだ健在です。

何より嬉しい事実です。












お裁縫の知識・ご経験共に豊かな…『天使のお針子』のmomoさんと、
図々しくも取り組ませて頂いたピコフリルの研究でした。
とてもいい勉強になりました。


懐かしく、
感謝の気持ちで振り返りました。


今後に、
大切に、生かしていきたいと思っております。




serendipity_mayumin