ガーゼ論V


ガーゼの吸水力に迫る 
〜 タオル向きガーゼについて 〜


実験@ 『吸水力と乾きやすさをはかる』








簡単に実験してみました。


普通のタオル・トリプルガーゼ・ダブルガーゼ・ワッフル・6重ガーゼ…等、
これらの生地を十分に水通しした後、
それぞれ、10cm×30cm の形に裁断し
下図のようにぐるぐると巻き、糸で留めました。










次に、コップに100ccの水をいれ、
それぞれの生地をそのまま浸しておき、
5分後にとりだして、
残った水の量をはかることで、
生地の吸水量を測定しました。



そして、その後、
よく絞って同じ条件で乾かし、
どのぐらいの時間で乾くものかも観察しました。
主要なサンプルの結果のみ記します。







10cm×30cmのハギレの結果

吸水した量 完全乾くのに要した時間
普通のタオル  60cc 3時間弱
ダブルガーゼ 20cc 1時間弱
トリプルガーゼ 30cc 2時間弱
ワッフル 35cc 2時間30分
6重ガーゼ 50cc 1時間強

  キッチンスケールなので
正確な数値が出せずすみません・・・
※上記のワッフルの数値は、
タオルワッフルではなく、普通タイプ(小ぶりのワッフル)です。
タオルワッフルは、普通のタオル並みに吸水力があります。



 ここから分かること


6重ガーゼについては、
吸水力が、普通のタオルにせまる勢いで
乾くのに時間がかかるタオルに比べて、
ガーゼは、どれも早く乾き、
上手く作れば、快適なタオルとして使えるように思いました。


 ここで、ひとつ疑問が持ち上がります。
『トリプルガーゼを2枚重ねたら、
6重ガーゼと同様の働きをしてくれるものか』


これは、
構造を見ていただくと、その答えが自然と見えてくることと思います。
少し話題が広がりますが、まずこちらをご覧ください。


トリプルガーゼ 6重ガーゼ


以前、接結点の説明で使った画像ですが、
このように、
トリプルガーゼは、3枚のシングルガーゼを重ねてあわせて留めて作られています。
一方、6重ガーゼというものは、
(すべてがその織り方とは限りませんが)
たいてい『6枚同時に織られている』ものが多く、
糸が上下に交差しているため、
サイドから開こうと引き離そうとしても
糸が互いに絡み合っていて、開くことさえ難しく、
6枚はぎゅっと結びついています。
そのため、多重ガーゼでありながら、ズレがなく、
これが、洗うと、一気にしわしわになる理由でもあります。








『トリプルガーゼを重ねたら、6重ガーゼの働きになるのか』ですが、
水を含んだ場合には、トリプルガーゼを2枚重ねても、
単純に、吸収力が倍になるわけではなく、
肌に触れる側だけが
一気に水を吸収して重くなり、
裏側のガーゼはズレて離れてしまうことが多いです。
多分これが、
フェイスタオル程度なら目立たないけれども、
バスタオルになると、
急に拭きにくくなってしまう要因でもあると思います。









『 フェイスタオルとバスタオルの違い 』

 
 サイズの違いがまず第一に大きな差ですが、
それと並んで、実はもう一点、
「タオルによる拭き方の違い」もあります。

これは、たとえば手を拭くとき、
『両手で』タオルを挟んで水気をふき取ることが多く、
このように、両方から確かな力がしっかりとかかる時は、
二枚重ねでも、
ズレが気になることはほとんどありません。
一方で、バスタオルで身体を拭くときは、
自分の体に対してもそうですが、特に親が子供を拭くとき、
頭にかけて、
上からごしごし拭くことが多いことでしょう。
そんなに力強く拭かれる方はいないと思いますので、
身体側からは、あまり反発する力も起こらず、
さらに、お風呂の水気で一気に重くなってしまったガーゼは、
たちまち、表側から離れて、
拭きにくくなってしまうのです。
これが、二枚重ねタオルにおけるいちばん問題です。


その点に着目すると、
バスタオルサイズには、
『二枚重ねは不向き』というのが、
私の率直な感想です。



ハンカチサイズでしたら
二枚重ねのふかふか感や
ガーゼの良さが十二分に活かれることと思います。



生地やサイズにあわせて
また家族の好みに合わせて作られるといいですね。


以下、生地別に






ガーゼタオルの考察

〜生地別編〜 





6重ガーゼ




シングルガーゼを6枚重ねた構造ではなく、
一緒に織り込まれているガーゼは、
ズレることなく、
吸収力、肌触り共に、
タオルとして相応しいように思います。
ハンカチにはボリュームが出すぎてしまうと思いますが、
フェイスタオルサイズがベストですね。









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タオルワッフルは、
『タオル』とその名前についているぐらい、
タオルに向きます。
重ねあわせなくても1枚仕立てで十分につかえ、
このふっくら感は、何ともいえない高級感があります。
ワッフルの大きさに合わせて、
小さいものはハンカチに、
大きいワッフルはバスタオルにされると
とても使いやすいものになると思います。




上…タオルワッフル
下…ミニワッフル




小花柄の方は、
ひとつひとつのワッフルが小さくなるので、
ハンカチに向いているタイプのワッフルです。


※ワッフルは、その凸凹がくっきりと美しく際立っているものが
上等のものだといわれています。



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綿麻Wガーゼ 綿80% 麻20%




表面からも見て取れますが、
肌触りが滑らかではなく、
どちらかというと、パサパサとしています。
綿100%のWガーゼでも
このぱさつく感じのある生地、結構ありますよね。
保湿力が低いため、このようにパサパサするのだと思いますが、
この点が、
実は、ハンカチやタオルには向いています。
もしクローゼットに眠っているこのタイプの生地があったら…ぜひ。




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服地向けトリプルガーゼ 綿100%



お気に入りとして、
ここでよくご紹介しているトリプルガーゼです。
とても滑らかで艶やかな柔らかさがあります。
接結点が細かいので、
ガーゼ論Uでお話したように、
お洋服にした時に、とても映えます。
また、糸が細い割にトリプルガーゼは丈夫なので、
枕カバーやズボンにもいいと思います。

このトリプルガーゼだけでなく、Wガーゼでも、
『肌触り滑らかな艶やかなガーゼ』は、
タオルには、不向きです。


滑らかすぎて、摩擦が少ないため、拭き心地がいまひとつで、
「タオルにはもったいない生地」という印象です。



他、リネン・リネンワッフルは、
既に1枚仕立てで、多くのタオルが市販されています。
使いやすさが裏づけされているからこそ、
これだけ販売されているので、
今回は、省略させて頂きました。








追記

『 蒸散性の面から 』

すぐに乾く、という面からアプローチしていくと
Wガーゼの場合には、『目が粗い』生地が、
一番はやく乾きました。
さらに、素材で比べれば、
蒸散性が高い生地は、やはりコットンよりもリネンでした。



キッチンまわりの実用的なクロスとして、
Wガーゼの中でおすすめの性質は
「パサつきがち」で「糸は太め」、「ざっくり編み」が、
いいと思いました。




これは、台布巾として使っているものです。

原寸大です。


次はキッチンクロスとして使っているWガーゼです。

原寸大です